久米南町上籾地区から発信する「里山創生プロジェクト」始動
豊かな里山の資源を維持回収しながら、「パーマカルチャー」をはじめとした様々な新たなる里山創生プロジェクトが始まります。
そのキックオフ企画として、全国各地で活躍されているふるさと創生のスペシャリストが一同に介し、
「農村保全」「産業振興」「移住促進」の3つの側面から外部ネットワークとの
連携や活動促進の協力支援が生まれることを目的に「里山創生フォーラム」を開催いたしました。
本フォーラムのオープニングアクト「倉敷芸能塾」による獅子舞演舞の後、
主催者の上籾みろく農場協議会の杉本会長による挨拶をもってフォーラム開幕。
~杉本会長ご挨拶~
上籾は小さな村でございます。八十数名の皆さんが生活しております。
そういった中で、我々なんとか過疎の村を立て直していこうと脱皮し、
少しでも昔のような楽しい村が取り戻せたらなと思いながら、頑張っております。
一日、有意義なフォーラムにしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
講演者:カイル・ホルツヒューター、和子ご夫妻(木和土代表)
Profile(プロフィール)
1977年ウィスコンシン州に生まれ、アイオワ州立大学を卒業後、
2003年にパーマカルチャー・デザインとエコビレッジ・デザインを学ぶ。
2006年、ペンシルバニア州立大学大学院博士前期課程を終了し、
2011年に日本大学大学院博士後期課程を終了(日本における
ストローベイル建築の温室度環境と壁内湿気対策を研究)。
「楽しい」「美味しい」「美しい」「自分らしい」を自身の原理とし、
現在、世界各地でパーマカルチャー、ストローベイル建築の
ワークショップ指導などを担当している。
テーマ「How to make community 上籾 in Premaculture way」
パーマカルチャーとは、パーマネント(permanent)とアグリカルチャー(agriculture)を組み合わせた
”永続する農業”を意味する造語で「自然のエコシステムを参考にし、
持続可能な農業や社会、暮らしの創造」を、実践を伴う総合的な哲学・学問。
パーマカルチャーは、
・自然のシステムの観察(天候・気候・資源・地形・植生・生き物とその習性など)
・伝統的な生活、先人の知恵(伝統食・保存食・機械が入る前の農法、伝統工芸・伝統建築技術など)
・現代の技術的知識との融合(適正技術)
の3要素から成り立つ。過疎化と限界集落問題・空き家問題・移住者の就職先・休耕農作地の荒廃など
里山再生の課題に対してのパーマカルチャーの挑戦として、上籾にパーマカルチャーセンターの設立を計画中。
パーマカルチャーセンターの可能性(計画と展望)
①農村保全・棚田保全
・耕さない田んぼの会とオーナー制度
②産業振興
・里山再生の担い手の育成としてパーマカルチャーデザインコースの開催や、
エディブル教育(学校内に菜園を作り、学校の教科と菜園での授業を統合した教育。)授業の導入で、
里山を慈しむ心を養う教育として、親子で参加できる授業の開発と開催。
・タイニーストローベイルハウスなどの工法で自然建築を学べる学校の開催も計画中
・国際交流・大学連携し、日本の伝統工芸や伝統建築の講座の開催。
・食の安全性・無農薬・有機栽培の可能性
・LOHASカフェで発酵食やオーガニック・健康食・特産物・食品開発
・米ぬか酵素風呂やハンジュンマク・サウナを取り入れた養生園の運営。
③移住促進
・地域の空き家を改造して移住を促進し、アウトドアキッチンを活用してコミュニティを形成する。
講演者:五十嵐武志、ひろこご夫妻(五十野園代表)
Profile(プロフィール)
農薬や化学肥料を使わずお米を生産する不耕起栽培の第一人者。
千葉・南房総にて、「耕さず、農薬・肥料や除草剤を使わない」方法で
お米づくりを実戦しつつ、「耕さない田んぼクラス」を
定期的に開催している。
お米作りについて~耕さない田んぼ~
冬季湛水不耕起移植栽培の第一人者である農業技術者の岩澤信夫先生に栽培方法を学び、
10年間の稲作で培った経験から、耕さない田んぼの教室を定期的に開催している。冬季湛水不耕起移植栽培は冬の田んぼに水を張る+田んぼを耕さない+苗を栽培してから田んぼに移植する
水を張る時期を自分たちで観察して判断をし、耕さない「固い土壌」に、丈夫な苗を植えることが必要。
耕さない田んぼの1年
・10月-11月…田んぼの準備(雑草・稲株・畦の草刈りと水路の準備)
・1月下旬…田んぼに水を溜め、クロ塗りを重ねる→田んぼの完成
・2月…岩澤式の低温育苗スタート
・3月…田んぼに水を溜める
・3月中旬…発芽の一歩手前に揃えた種籾を種まき
・5月…田植え
・6月…生き物観察
・7月…畦の草刈り
・8月…出穂
・9月…稲刈り・乾燥・脱穀
「耕さない田んぼ」とは機械や人の手を使って田んぼを耕さないもので、
お米作りの基本と作物の生理・生態を理解したうえで選択と実践を積み重ねていく栽培。今年から、上籾みろく農場協議会と「耕さない勉強会」を開催予定。
岡山うらじゃ連 鬼縁などによる、うらじゃ演舞パフォーマンスでは、 観客・スタッフなど、開場全体が盛り上がり、笑顔あふれる時間となりました。
ファシリテーター
シキタ 純 氏 NPO法人ビーグッドカフェ 代表理事
Profile(プロフィール)
1999年から「持続可能な社会」をテーマにしたNPO法人ビーグッドカフェを設立。
「地域コミュニティの活性化」、「オーガニックな農と食の普及」、「子どもに向けた環境教育」などを
事業の柱に広く活動を展開中。また、阿部昭恵夫人と共に日本各地の地域プロデユーサーと地方創生を
考えるフォーラムを総理公邸で不定期に開催している。
パネリスト
林 良樹 氏 NPO法人うず 理事長
Profile(プロフィール)
東京から100キロ圏・約2時間。海の方は観光と漁業、内陸部に入ると棚田100選の一つの
大山千枚田がある千葉県の鴨川に18年前に移住。
千葉・鴨川を拠点とし、里山全体を価値ある社会の共有財産として保全するため、
無印良品くらしの良品研究所と共に「鴨川里山トラスト」を行う里山保全活動家
ちょうど移住した18年前頃、大山千枚田で棚田オーナー制度が始まりました。
棚田をどんどん再生していって、毎年オーナー制度を増やしていき、
今では375枚を再生し、棚田オーナー制度は145口くらい募集して毎年継続しています。僕らは、地域通貨を作って、コミュニティを作りました。
みんなで仕事を作り始め、地域の課題を解決する便利屋さんグループを作り、みんなでカフェを作り、
NPO法人うずを作りました。そして、地元の方達に先生になってもらったりして、若者達が沢山学びに来る
世界中の伝統的な文化を学ぶ学校を始め、長老たちと一緒に都市農村交流も始めました。
地元住民だけでは、もう村を支えられません。
地元住民と新住民と通ってくる都市住民と三つの力を合わせて融合した新しい村作りをしています。都会の人に一気に移住してもらうのではなく、遊びに来てももらう。
通いながら、空いてる農地をみんなで利用して食べ物を作って家族で豊かな時間を過ごして
そういう取り組みをしながら村を守る。そんな取り組みを日本中で広めたい。企業・大学との連携で、廃校を利用して千葉大学の「サテライト教室」と
無印の「サテライトオフィス」が入ります。無印良品とは、「鴨川里山トラスト」という活動をしています。
棚田のお米でお酒を造って…去年、無印良品で売ってもらいました(1000本が1月で完売)
米・味噌・醤油・酒・手仕事など、昔、日本人がやっていた暮らしをもう一度
都会の人と一緒に体験する。そしてその体験をしながら山の中の農地とコミットを守っていく。
自然環境と、生活文化を含めた里山全体の空間と時間を社会の共有財産として保全していく。
それを、市民もNPOも自治体も企業も大学もみんなが手を繋いでやる時代に入りました。「人と自然~都会と田舎の共生社会」を広げていきたいと思っています。
そういう、持続可能なローカルが、持続可能な地球を作ると思っています。
坂本 重夫 氏 広島県有機農業研究会 代表
Profile(プロフィール)
有機農業を始めて35年以上。
お米作り・野菜作り・鶏を結びつけて、自然循環し、それぞれを有機的に結びついた農業スタイル。
21歳の時に玄米菜食を知り、食べることの大切さに目覚める。1978年から妻と共に有機農業をはじめ、
1991年から、2haの山林を開墾し、畑、果樹園を開き、鶏舎も建てる。自然エネルギーによる
エネルギーの自給も模索中。
「有機農業の目指す社会とは」
・地域で自給、つながっていく社会~生消提供、地産地消
・輸入に頼らず、地域にある資源を活かす~持続可能社会
・生産者と消費者のつながり、健康な体と心づくり~食育
・エネルギーも自給~自然エネルギー、廃食油、脱原発
・若者が地域で活躍する社会~新規就農を応援マクロビオティック(地域でできたものを丸ごと食べる、玄米と野菜の食事法)を農業を始める前に
3年間勉強して、自給自足の暮らしを田舎で始めたいと思い、有機農業を始めました。
有機農業ということは土作りが重要になります。
5年10年すると安定してきて肥料もほとんどやってないですが、始めたころは色んな問題や課題がありました。
私の所は、年間約50種類・60種類の色んなものをムネごとに変えて作ります。
それぞれが補い合って作るので、一つに虫が来ても、隣に影響はありません。
燐作とか混作とかいろいろ工夫すると、ほどんと農薬なしで作れるようになります。
不耕起は最初難しいですけど5年、10年、15年すると非常に安定して、耕さなくても野菜ができています。
出荷は地産地消ということで、地元の消費者の人と活かしてもらっている人に直接販売ということでやっています。パーマカルチャーの中で家畜というのは、私の農場の中では大事な部分で
家畜(鶏)がいることで、いろいろ循環して回っていきます。鶏のエサは全て地域の中でできた
お米とか米ぬかなど、その地域の中で出た産物を利用した国産の飼料で育てています。私の有機農業の一つの基本は堆肥を作るということで、
堆肥の材料はここの里山で出てくる落ち葉や色んな草です。
飼っている鶏の鶏糞など、を活用するという方法で、発酵させるというプロセスを通すと全てが有効に活用できる。野菜・米・果樹・家畜・里山の色んな資源が繋がりながらやっていける農業がパーマカルチャーの一つだと思います。
梶谷 譲 氏 梶谷農園 代表
Profile(プロフィール)
中学卒業後、15歳でカナダへ渡り農業を学ぶ。現在は、広島県三原市で葉野菜とハーブに特化した
梶谷農園を経営し、全国の有名レストランへ卸している。国内のみならず
世界のガストロノミーと直に繋がる農業家。
小さい農家でも、ちゃんと利益を生んで、農業で暮らしができる。そんな農業をやりたくて
10年前に農家を継ぎました。旅行で学んだのは、たくさんの植物と野菜なんですけど、
どうしてもスーパーに並ぶ野菜となると、みんな同じようなものしか作らないんだろう?と思い、
その旅行の時に色々学んだことを取り入れて始めました。
そして、獲れたハーブを、僕はすぐパリに持って行き、三ツ星レストランのシェフに、「これで料理して」
とお願いして、三ツ星シェフが「美味しいよ!使える!」って言ってくれて、
そこで修行した人で、日本にいる人を紹介してもらって、そこから始まりました。ここで必要なのは無農薬。やはり薬を使ってしまうと身体によくないし、生食なんで、
そういう面で有機農業をやっています。いつも新しいハーブや植物を見る時は、農家ではなく料理人になった気分で、何の料理に
合わせたらいいのかなど、農家的発想ではなく、料理人が何を求めているのかというのをいつも考えています。今のところ、3日に1回種まきをすることによっていつも違うサイズの野菜があるようにしています。
うちの特徴の一番は、料理人と直接話をして、何を卸すかというのが決まってきます。
今までは、そこにたくさんの仲卸や野菜担当、資材科という色んな人が入り、伝言ゲームみたいになって、
農家に来るときには、わけがわからないことになっている。
僕の場合は、料理長から直接電話を入れてもらって、何が欲しいかなどを相談します。
そうすると農家もわかりやすくて、何が欲しいか、どのサイズが欲しいかというのが明確にわかってくるし、
誰が使っているかを想像しながら収穫とかパッケージングすることによって、美味しさにつながってくる。面白くて、なかなかスーパーでは入らない物を中心にやっています。
セロリも小さい新芽であったり、バジルもとても小さいサイズで出荷します。
(バジルが大きくなりすぎると、パスタがかくれて主役がどっちかわからなくなる)そして、実際に卸している店に食べに行く。
そこで実際にシェフが何を想像しながら作っているか、それを食べている人は自分の野菜を
どう思うかという最後のところまで、食べに行き、見て、お皿の上の状態を想像して栽培や出荷をしています。
石原 達也 氏 岡山NPOセンター 副代表理事
Profile(プロフィール)
NPO歴15年、NPO支援歴13年。ボランティア・NPO・地域活動・社会事業などの経営支援全般を行い、
地域コミュニティの在り方を変え、進化と深化を促進している。
岡山には中山間地域と呼ばれる地域が非常に多い県で、
面積の7~8割が中山間地域と言われるところになります。
どうしてもそういう所から、人口の減少というのは進んでいます。
人が減っていくと町の色んなことが変わってきて、だんだんお店が無くなったりとか
交通のバスがなくなったりとか、そうしたことも増えていきます。赤磐の「夢百笑」というところは、地域で自分たちでお金を出し合って出資してお店を始めました。
地域の人たちが育てた野菜や果物をここで販売し、逆にそこに来た時に、遠方に買い物に行くのが
難しい高齢者の方がここで買い物ができるという場所になっている。加茂の方では、自分たちの中で草刈りとか助け合いができる組織を自分たちでNPO法人を作り、
運用しています。
その他に、地域の人が寄り合うような場所が必要だということで、みんなで集まってカフェをしたり、
居酒屋をするという地域もあります。津山市の高倉という地域には東京から若い人が移住してきていて、彼らは、自分たちの子供たちが遊べる
場所を作ったり、その中で未来ビジョンのようなものを作って、自分たちで自分たちの町を運営しています。
移住してきた人と地元に居られる人たちの意思を尊重して一緒にやっていくことが非常に大事だと思う。自分たちが自分たちで何とかしようと動くから、周りの人がお手伝いをしてくれて、
色んな繋がりができてやっていけるはずだと思います。美作の上山というところではトヨタ自動車さんから2億2000万円お金を頂いて、プロジェクトをやっています。
ここも山間地でお店も無いし、棚田しかないところで交通の便も難しく
今色んなテクノロジーの力を使って、電気自動車の車両を入れたりして、高齢者の方でも
農業や生活が続けていけれるようなことをしたり、そういった生活の不安を取り除くようなことをしていく中で、
介護と農業を組み合わせた新しい仕事づくりをすることで、
ここで若い人が生活していけるような村作りをしています。
行政や近隣の人たちとうまくやっていくには?
若者が移住するような魅力的な地域とは?
まず、一度上籾に来てもらうには?
住民の方からのご意見ご質問その1
住民の方からのご意見ご質問その2
㈱パソナ岡山様と、道の駅くめなん様のご協力で抽選会が行われ、
上籾みろく農場協議会 山本副会長の今後への展望と、皆様への感謝の言葉をもって、
フォーラム閉会。